サッカーを教えることの難しさ(その3) | 蹴球会議(レッズサポの独り言)

サッカーを教えることの難しさ(その3)

自分がサッカーを教えようと本気で思ったのなら、まずは見本を探すことが大事である。
練習方法などは、一度見ればすぐ真似ができるからだ。
身近にいる良い指導者を探し出し、その人の一挙手一投足に注目しよう。


日本サッカー協会が認めるコーチライセンスを持つ指導者でも、サッカーのことをあまり良く知らないであろうと思われる人たちが中にはいる。
逆に、ライセンスを持たない指導者でも、かなりの知識を所有している人たちもたくさんいる。
ライセンスを持っている人たちは、講習会への参加が義務付けられていることもあって、最先端のサッカー理論を学ぶ機会は多いはずであるが、指導者自身に勉強意欲がなければ、指導者としての力量はなかなか上がらない。
では、良い指導者と悪い指導者の見極めはどこでつければ良いのだろうか。


指導者の力量を見るには、その少年団が、毎年安定した良い成績を残しているかを指標にすると良い。
何故なら、良い指導者というものは、選手の技術レベルを上げる能力に優れ、戦術面でも高い知識を有するため、教わる子供たちの力は、短期間でも飛躍的に向上するからである。
小学校は6年間もあるので、優れた指導者とそうでない指導者とで、力の差が出るのは当然のことなのだ。
小学生の年代から選手を集めるチームもそれなりにあるが、それは集めている、というのではなく、自然に集まってくる、という表現のほうが正しいだろう。
毎年コンスタントに成績を出しているチームや、指導者の評判が良いチームは、父兄や子供たちを通じて、その地域以外のところにまで自然と良い噂が広がる。
本気でプロを目指している子供たちや、その親御さんたちは、少しでも良い環境でサッカーを学ばせるべく、良い指導者の下に集まってくるのである。


では、強いチームを指導していなければ良い指導者とは言えないのか、というとそうでもない。
弱いチームでも良い指導者はたくさんいる。
それは、まだ指導歴が浅いために、チームに自分のサッカーを浸透させきっていない場合や、人数が少なくて、自分の求めるサッカーを展開できない場合などである。
私が小学校のときに所属していたサッカー少年団は、一年生から六年生までで15人しかいなくて、一年生が六年生の大会に出ているような状況だった。
これでは、どんなに教えるのが上手でも勝てるわけがない。
そういった、弱小チームを教える良い指導者を見分けるためにはどうしたら良いか。


その指導者が、技術的に優れているかどうかを見極めるのは意外と簡単である。
練習中、自分から積極的にボールに触っているかどうかを見れば良いのだ。
インサイドキックさえできないような指導者を何人も見たことがあるが、そういった人たちはほとんどボールに触ろうとしなかった。
逆に、サッカー経験が豊富な指導者は、自分もボールに触りたくてしょうがないので、自然とボールを蹴ってしまうのだろう。
子供たちは、目で見て、頭で理解し、体で覚える。
人間は、五感を使って物事を覚えるようにできていて、年齢が小さいほど、物事を覚えるのも早い。
全ての五感をフル活用させてサッカーを学んでいくほうが、子供たちの上達も早いはずである。
そのため、指導者が見本を見せれるということが、良い指導者の必須条件と言えるのだ。



>続く