サッカーを教えることの難しさ(その2) | 蹴球会議(レッズサポの独り言)

サッカーを教えることの難しさ(その2)

日本サッカー協会が認める、公認コーチというライセンスがある。
Jリーグの監督も務められるS級から、U-12を対象にしたD級までの5段階のライセンスと、平成16年4月からあらたに新設されたキッズリーダーという資格だ。
B級とC級にはゴールキーパーコーチという資格もあり、サッカーを教えるための、より一層細かい規定が作られるようになっている。
ちなみに、私はこの資格を所有していない。


こういった資格を所有している人は、大抵、サッカーの指導者として生活している人たち、もしくは生活していこうとしている人たちである。
そのため、強豪と呼ばれる少年団には何人もの資格所有者がいて、一年生から六年生までの全てのカテゴリーにおいて、きちっとした指導を行えるというわけだ。
そうした指導が行き届いた環境で育った子供たちは、技術、戦術面にも非常に優れ、大会でも良い成績を残すことができるのである。


一方、弱小クラブには、コーチライセンス所有者が一人もいない、ということが良くある。
私のようにコーチライセンスを持っていない指導者が、子供たちを教えている、というわけだ。
なぜ、サッカーを指導できる免許を持たない人が、少年団というチームを作ることができるのだろうか。
これは、スポーツ少年団という組織の作り方に問題がある。
スポーツ少年団を作るときに、代表者が団体の加盟申請をするのは、日本サッカー協会ではなくて、日本体育協会なのだ。
日本体育協会では、スポーツ少年団を指導する20歳以上の指導者が一人以上いて、教わる子供たちが10人以上いれば、その団体をスポーツ少年団と認定する、と明記されている。
指導資格は一切必要ないわけだ。
もちろん、資格を持っていたほうが良いだろうが、そういった旨は一切記載されてはいない。
こういったことから、コーチライセンスをもたない指導者が教える少年団、というものができあがってしまうのであろう。


サッカーをきちっと教えてくれる指導者がいない、という環境は、伸び盛りの子供たちにとっては望ましい状況ではない。
コーチライセンス所有者が、必ずしも優れた指導者であるとは言い難いが、C級以上のライセンス所有者には、そのライセンスを保有するために、日本サッカー協会、もしくは都道府県サッカー協会が開催する、講習会への参加が義務付けられている。
この講習会は、トレセン制度(※3)というものが非常に重要な役割を担っていて、講習会に参加すれば、日本のトップレベルのサッカーを学べるようなシステムになっている。
そのため、講習会に参加することによって、いろいろなサッカーの知識を学ぶことができるので、指導者自身がレベルアップすることは間違いない。
ライセンス保持年数が多い指導者や、上のランクのライセンスを持っている指導者ほど、講習会に参加している回数は多いはずで、ライセンスのことを聞いてみれば、その人の指導者としてのレベルが容易に推測できるのだ。

つまり、各チームごとに、一人以上コーチライセンスを持った指導者がいることが、サッカー大国日本の目指すべき理想なのではないだろうか。


※3トレセン制度 日本サッカー協会が、サッカー強豪国と対等に闘うために行っている制度。詳しくは後日。



>続く