4バックと3バック(その2)
前回は3-5-2の成り立ちを書いたが、今回からは、4バックと3バックの良し悪しについて書こうと思う。
私はもっぱら4バックを推奨しているのだが、どちらが良いかというのは一概には言えないし、監督の好みや、起用する選手のタイプにも左右されることが多いと思うので、あまり気にせずに読んでいただきたい。
ただ、世界の主流はいまや完全に4バックで、3バックは少々時代遅れの様相を呈してきているのも事実だ。(今年のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに残った16チームは、全て4バック。)
もし、自分のチームが最先端の戦術を使いたいのであれば、4バックをお薦めする。笑
では、実際にそれぞれのシステムについて述べていこうと思う。
まずは4バックからだが、4バックにもいろいろなシステムがある。
4-4-2、4-3-3、4-5-1と、3分割表記でも3種類あり、4分割表記も含めてしまうと、その数は8種類にまで増える。(4-1-4-1、4-2-3-1、4-3-1-2、4-3-2-1、4-1-3-2)
さらに、4-4-2には、中盤の4人がフラットに並ぶオーソドックスな4-4-2のほかに、ボックス型とダイヤモンド型があり、これらを含めると、全部で10種類のシステムが考えられる。
4-2-4なんてシステムもあるのではないか、と思われる人もいるだろうが、これは40年以上も前に流行った戦術で、その存在意義は大きいものの、今現在では、この戦術を使っているチームは全く見当たらないので、数には入れないことにする。
以上のように、10種類に分けられる4バックのシステムであるが、実は守備に関してはあまり違いはない。
厳密に言うと違うのは当たり前なのだが、その違いは微々たるものだし、守備は相手ありきの受身の行動なので、相手によって守り方が変わるのは当然だ。
そのため、システムは同じでも相手が変われば守り方も変化するし、相手が同じならば、自分達のシステムが変わっても守り方は同じである。
つまり、各システムの守り方による違いと、相手によって変わる守り方の違いは、誤差にもとれる許容範囲内での変化と考えてもなんら問題ない。。(ここでの言及に、3バックシステムは含まない。)
よってここでは、全ての4バックシステムの守備について、オーソドックスな4-4-2の守備について言及することにする。
上記がオーソドックスな4-4-2であるが、説明を聞く前に、皆さんに知っておいてもらいたいことがある。
それは、コートの大きさだ。
サッカーの公式ルールでは、縦90~120m、横45~90mで、コートは長方形にしなければならない、と規定されているが、これは公式ルールであって、実際にこの大きさを目一杯に使ったコートなどで試合をすることはないだろう。
日本国内では、国際試合や全国規模での大会のコートの大きさを、108m×65mとJFA(日本サッカー協会)が規定しているからだ。
ちなみにFIFAは、国際試合のコートの大きさを、縦100~110m、横64~75mとしている。
ここでは、JFAの規則にのっとった、108m×65mという大きさを使って言及していこう。
この、65mという数字を覚えておいていただきたい。
次に、ペナルティエリアとゴールエリアの大きさであるが、まずは下の絵をご覧頂きたい。
横の幅は65mとしているので、
①ペナルティエリアからタッチラインまでの長さ・・・12.34m
②ゴールエリアからペナルティエリアまでの長さ・・・11m
③ゴールポストからゴールエリアまでの長さ・・・5.5m
④ゴールの幅・・・7.32m
となる。
ここで一番重要な数字は①である。
※②、③、④の長さは、公式ルールで決められているが、①は流動的な数字で、FIFAの規則ならば11.84~17.34mであるが、JFAの規則ならば、12.34mとなる。
では、①=12.34mと、65mという数字を念頭において、下の絵をご覧頂こう。
青く塗っているところは、主にサイドの選手がプレーするエリアである。
緑の部分は、主に真ん中の選手がプレーするエリアだ。
この、青く塗った部分が、4-4-2を説明する上での最重要ファクターとなるのだが、この青色のエリアの大きさは、フィールド全体に対して、一体どれくらいの大きさなのだろうか。
これは、先ほどの①=12.34mと、横幅65mという数字を使えば容易に計算できる。
65÷①≒5となり、実は、この青色のエリアは、全体のフィールドの約5分の1の大きさだということがわかる。
では、この青色のエリアでプレーする人数は何人になるのだろうか。
それは、上記の絵を見ても一目瞭然。
各サイドに2人ずつである。
ここまで説明すれば、だいたいの察しがつくだろう。
フィールドプレイヤーは全部で10人。
青色のエリアでプレーする人は2人。
つまり、10÷2=5となり、フィールドプレイヤーの5分の1にあたる選手が、青色のエリアを担当することになるわけだ。
以上のことより、フィールドの大きさと人数がぴったり噛み合っていることがわかるのだから、4-4-2は、とてもバランスが優れているシステムだと言えよう。