4バックと3バック | 蹴球会議(レッズサポの独り言)

4バックと3バック

以前、戦術の話をしたときに、4バックと3バックのことについて書いたので、今日はそのことについて書こうと思う。

私は、自分なりに戦術書を読み漁ったり、いろいろな指導者に教わることによって、それなりの知識を得たつもりでいるが、80年代以前のシステムについては、ほとんど知識がない。

なぜなら、その時代の試合映像というものが、ほとんど手に入らないからである。

仮に見れたとしても、ゴールシーンを繋ぎ合わせたものばかりで、戦術的な試合観戦はできないのだ。

よって、ここでは、最近のシステムについてだけ述べさせていただくことにする。




最近のシステムは、大まかに2つに分けることができる。

それが、4バックと3バックである。

3バックは、両サイドのスペースをカバーすることが難しく、サイドからのアタッキングが主流の現代サッカーにおいては、全く歯が立たなかった。

そのため、一時期は衰退の一歩を辿っていた戦術だったのが、3-5-2というシステムができてからは、世界を席巻するまでにその地位を回復した。


そもそも、なぜ3-5-2というシステムができたのかと言うと、2トップにたいして一枚ディフェンスを余らせたい、というディフェンスの基本概念があったからである。
4-4-2の場合、相手の2トップにはセンターバックがマークにつくのが普通なので、サイドバックは相手のサイドハーフをマークすることになる。

しかしこれだと、相手のサイドハーフが高い位置に来たとき、ディフェンスラインは一枚余らせることができない。
これが、3-5-2の場合だと、後ろ3人で2トップを見る形になるので、サイドの二人が相手のサイドハーフをマークするようにすれば、常に一人余った状況が作れるというわけだ。
つまり、3-5-2のサイドと、4-4-2のサイドバックは、ディフェンスに関しては元々同じ仕事をするポジションなわけである。
違うことは、3-5-2には、最終ラインにカバーリングを仕事とする選手が一人入っている、というところだけなのだ。

これが、3-5-2が守備的と言われる由縁である。

このスイーパーと呼ばれるポジションの仕事は、4-4-2のボランチに似ていて、スペースをカバーしたり、ときにはマークについたりと、ユーティリティー溢れるプレーが要求される。
このことは、Jリーグの選手起用を見てもご理解いただけると思う。
ガンバ大阪の場合、3バックの真ん中はシジクレイか宮本がやっているのだが、二人とも、ボランチで起用されることがあるのはご存知だろうか?
さらに、日本代表で言えば、松田もユース代表の頃はボランチをやっていた経験がある。
つまり、イメージとしては、3-5-2は、4-4-2のボランチが最終ラインに加わった、5-3-2の形から派生してできたシステム、と思っていただければわかりやすい。


だが、攻撃に関しては役割が違ってくる。
攻撃の場合、4-4-2のサイドバックと同じ仕事を要求されるのは、主に3バックの両サイドなのだ。
これはどういうことかと言うと、4-4-2の場合は、後ろのディフェンスライン4人でボールを回すわけだが、そのことを3-5-2に当てはめると、後ろの3人とボランチ一枚の4人でボールを回す、ということに一致するわけだ。
つまり、4-4-2のサイドバックが縦にくさびのパスを入れるプレーや、オーバーラップをするプレーと同じことが、3-5-2の3バックのサイドにも要求されることになる。

そして、3-5-2の両サイドは、4-4-2のサイドハーフと同じような動きが要求されるというわけである。

 
しかし残念ながら、Jリーグを見ている感じでは、日本人でこのことを理解しているディフェンスは、中澤と中田浩二くらいしかいないのではないだろうか。
代表で、三都主がボールを持ったときに、その外側を上がっていく中澤を何度も見たことがあると思うが、これはまさしくサイドバックの動きである。


Jリーグで3バックのサイドをやっている外国人選手(アルパイとネネくらいしか思いつかないが。)は、攻撃参加も考えてプレーしているので、その辺を参考にしてもらえれば、以上のことがわかりやすく理解できると思う。



そもそも、4-4-2が大流行したとき、サイドバックは中盤をやっている選手がやることが多かった。
これは、攻撃を組み立てるときの、一番最初の起点になるのがサイドバックだったから、というのが主な理由だと考えられる。
当時は世界No.1の右サイドバックと言われたジョルジーニョも、ユース時代はボランチだったし、94年のアメリカワールドカップの決勝で左サイドバックをやっていたレオナルドも、元々は中盤の選手だ。
日本で言えば、三浦淳、新井場、山田卓也などが、中盤とサイドバックの両方をこなせる。
こういう背景があって、4-4-2から3-5-2に世界の主流が移行していったとき、もともと中盤をやっていたサイドバックの選手が、サイドハーフ的な仕事もするようになったのが今の3-5-2のサイドハーフだ、と私は解釈している。



今回は、3-5-2の派生から、各ポジションに求められる役割を書いてみた。

次回は、4バックと3バックの良し悪しを比べていこうと思う。