キリンカップ2005 日本対ペルー
ドイツワールドカップ、アジア最終予選を直前に控えた最後のテストマッチ。
それが今回のキリンカップの目的である。
相手は、南米予選で10チーム中8位と低迷しているペルーと、アジアの一次予選で敗退が決まったUAE。
言うなれば、両チームとも格下の相手だ。
最終予選を気持ち良く迎えるためにも、圧倒的な力の差をみせつけて欲しい。
しかもペルーは、ディフェンスのロドリゲスが唯一南米予選のブラジル戦でプレーしただけで、ほとんどの選手が初代表である。
二軍と言っても過言ではないペルー相手に、1.5軍の日本はどうゆう試合展開を見せるのだろうか。
□■□■□■□■□■□■□■結果□■□■□■□■□■□■□■
合計 0 - 1
前半 0 - 0
日本 ペルー
後半 0 - 1
□■□■□■□■□■□■□■採点□■□■□■□■□■□■□■
日本
23 川口 能活 5.5 最後に失点したが、あれはキーパーのミスではない。あまりシュートを打たれなかったため、試合のリズムに乗りにくかったはずだが、たまにある相手のチャンスを落ち着いて対処した。
2 田中 誠 5.5 一対一で一度も抜かれなかったのは好印象。最終ラインでボールを回すときに、足元が落ち着かず少々不安を感じさせたのはよろしくない。最終ラインでボールを回すことが、チームの足を引っ張っているようでは、日本のポゼッションサッカーは意味のないものになるだろう。
5 宮本 恒靖 4.5 危険な場面は失点した場面だけだったが、あそこで失点しては元も子もない。なぜあそこで中を切らずに縦を切ってしまったのか。相手のドリブルに対するプレッシャーも甘く、楽々とスルーパスを出させてしまうのだから、この評価も致し方ない。また、ボール回しのときに、無意味にボールをこねるのはやめて欲しい。相手のプレッシャーがきつくなり、何度かピンチを招いている。それ以外も、ラインを下げすぎて中盤が間延びしている時間が多く、印象はかなり悪い。
26 坪井 慶介 5.5 田中と同じく、一対一では一度も抜かれなかった。センタリングも上げさせず、守備は満足。田中、宮本と共に、最終ラインでのボール回しに難があるので、足元の技術を練習して欲しい。
17 三浦 淳宏 6.5 今日一番の出来だろう。本来のポジションとは違う右サイドに入ったが、両足を使えるメリットを生かしてサイドを切り裂いた。右で駄目なら左に持ち替えてセンタリングできるのが大きな強み。今日の出来を維持できれば加地をベンチに追いやること間違いなし。ただ、欲を言えば、田中の上がれるスペースを作るフリーランニングの動きが足りなかった。足元にボールをもらいすぎる癖を直して欲しい。
14 三都主 アレサンドロ 6 相変わらずのポテンシャル。相手センターバックが大きいため、味方に繋がるクロスはほとんどなかったが、それでもセンタリングの精度は抜群。守備でも、相手カウンターへのプレッシングをしに逆サイドまで走るなど、スタミナを生かした幅広い守備でチームに貢献。危ない場面もなく、上々と言えるだろう。
15 福西 崇史 5.5 宮本が上がったときの最終ラインのカバーなど、今日は主に守備で活躍。だが、宮本が上がるより福西が上がるほうが得点の期待は高いのだから、宮本を静止させてでも自分が行くべきだろう。
4 遠藤 保仁 6 久しぶりのスタメンとなったが、惜しいミドルシュートを何本も放つなど、能力を発揮。ときたま前線に顔を出し、相手の脅威となった。守備でも、福西と呼吸を合わせてファーストプレッシングで相手をスピードダウンさせた。
8 小笠原満男 5.5 何本か決定的なパスを出せるチャンスがあったが、上手く合わなかった。鈴木の右足シュートへのパスが今日唯一成功したスルーパスか。守備は良かったが、攻撃のコンビネーションがいまいちで、2トップとの距離が少し離れていた。2トップに近づくためにも、ドリブルで相手を崩すなどの強引なプレーが欲しいところか。
11 鈴木 隆行 5 足元へのくさびのパスがほとんど入らず、前線で孤立。ボールキープ力はさすがだが、仕掛ける気持ちを見せないだけに、相手は守りやすかっただろう。身長で勝てなかった分、足元で打破して欲しかった。
28 玉田 圭司 5 得意のドリブルで相手をかわすのはお見事だが、あまり低い位置で相手をかわしても意味がない。もっと前線でタメを作れるようにならなければ、得点に結びつけることは難しいだろう。
31 大黒 将志 5.5 急遽交代出場となったためか、入ってしばらくは足元にボールが落ち着かず、ミスを連発。試合終了が近づくにつれ、流れに加われるようになったが、それでもまだ物足りない出来。及第点だが、クラブチームでの勢いを見せ付けることはできなかった。
29 稲本 潤一 6 福西に代わって出場したが、福西よりも機能していた。福西が後ろに下がってボールを回していたのに対し、稲本は積極的に高い位置に上がって相手の中盤を押し下げることに成功。中盤でのパス回しをスムーズなものにした。シュートも打って、復調間近か。
19 本山 雅志 5.5 フォワードというよりは、小笠原との2シャドーと言ったところでの出場となったが、持ち味のドリブルとテクニックでボールを失わなかった。欲を言えば、交代出場で入ったのだから得点を取りにいって欲しい。シュートゼロは頂けない。
ペルー
選手の区別がつかなかっために採点できず。
□■□■□■□■□■□■□■総評□■□■□■□■□■□■□■
開始直後はペルーペース。
日本は、宮本、田中、坪井の三人のボール回しが慌しく、相手2トップのプレッシャーに細かいミスを連発。
宮本に至っては、余計なボールタッチで相手のプレッシャーをもろにうけ、あわや一対一になるかと思われるようなパスカットもされた。
宮本の悪い癖は、妙なプライドと勘違いで、自分は上手いと思っているところである。
2003年のコンフェデレーションズカップ、対コロンビア戦での致命的なミスを忘れたのだろうか。
これは松田にも言えることだが、ディフェンスはセーフティーなプレーが一番大事なのだから、余計なプレーをして再び失点するようなことがあれば、今すぐ代表から外して欲しいものだ。
坪井は、足元の技術がおろそかなのはわかっていることなので、これからは足元を磨いていくことが必要だろう。
今では不動のレギュラーになった中澤も、オリンピック代表当時は下手くそで有名だったが、今では安心して見ていられるほどの技術を見につけた。
一対一には絶対の安心感がある坪井なのだから、攻撃面での成長が、今後代表に定着するかどうかの鍵を握るだろう。
前半開始直後のペルーの激しいプレッシャーを乗り切った日本は、徐々にペースを掴んでいった。
三都主、三浦が両サイドを果敢に攻め上がり、効果的なクロスを何本も供給。
相手センターバックの高さには敵わず、ことごとく跳ね返されてしまったが、時折低いクロスもまじえていけば、攻撃のバリエーションはグッと広まるだろう。
満足できる攻撃だったが、強いて言えば、三浦はフリーランニングの動きが足りない。
前や後ろが詰まっているのであれば、相手ディフェンスをひきつれてスペースを作ってやることも大事だ。
そうすれば、田中が攻撃に加わることができ、攻撃により厚みが増したはず。
三都主もあまりできていないが、それでもスペースを作る動きは何度かあった。
坪井が、そのスペースを生かせなかっただけだろう。
後半は完全に日本ペース。
特に、福西に代わって稲本が入ってからは、完全に日本が試合の主導権を握った。
稲本が高い位置に上がることにより、相手の中盤が守備に釘付けとなったのが大きい。
おかげで、三都主と三浦も高い位置でプレーできるようになった。
大黒は、玉田の怪我により急遽交代出場となったのが響いてか、投入直後はミスを連発。
しかし、試合が進むにつれて徐々に前を向いてボールをもらえるようになり、得点の香りを感じた。
後はそこからシュートを打てるようになれば、期待はもっと膨らむのだが。
しかし、圧倒的なボール支配率で後半を支配した日本だったが、ロスタイムにペルーのカウンター一発で失点してしまう。
圧倒的に試合を有利に進めていただけあって、この失点は勿体なさすぎる。
失点の場面は、宮本の対応ミスが大きく目立った。
3対3の状況になってしまったのだから、相手のプレーを遅らせる適度なプレッシャーと、中にパスを出させないポジショニングを瞬時にとるべきだった。
しかし宮本は、ボールをもったチロケに対して、ズルズルと下がって縦を切るばかり。
あれでは簡単にスルーパスを出させてしまうのは当たり前である。
あそこを防げないようでは、3バックの真ん中は務まらない。
ガンバ大阪で試合に出れていない宮本では、そのあたりの対応が上手くできなくても当たり前だ。
ジーコは、そろそろ宮本に代わる代役を探すべきだろう。
ロスタイムの失点で0-1という不甲斐ない敗戦を喫した日本。
次の試合のUAE戦に勝っても、キリンカップでの優勝は難しくなった。
本番はワールドカップの最終予選なだけに、次の試合をステップアップと考えて、気持ちを切り替えて望んで欲しいものだ。
次の試合も満足の行く結果にならないとしたら、日本のワールドカップ出場に黄信号が灯るのは間違いない。