チャンピオンズリーグでのリヴァプール優勝が引き起こした矛盾 | 蹴球会議(レッズサポの独り言)

チャンピオンズリーグでのリヴァプール優勝が引き起こした矛盾

5月25日、トルコのイスタンブールで、今年のヨーロッパチャンピオンが決定した。

3-3の同点でPKまでもつれ込んだこの試合は、GKイエシー・デュデクの大活躍で、21年振りにリヴァプールが優勝となった。

チャンピオンズリーグ史上稀にみる好ゲームで、世界中のファンは大満足だったに違いない。


しかし、リヴァプールが勝ったことによって、新たな問題が生じたのである。

それは、チャンピオンチームが来年の大会には出られない、という珍事だ。

プレミアリーグは、上位4チームまでが来期のチャンピオンズリーグの出場権を獲得できるのだが、リーグ開幕当初にいきなり躓き、そのまま波に乗れずにシーズンを終えたリヴァプールは、出場権に後一歩届かずの5位だった。

残念ながら、来年の出場権を逃してしまったというわけだ。

イングランドサッカー協会は、準決勝のリヴァプール対チェルシー戦が終わった後から、UEFA(欧州サッカー連盟)に対して何度か、「リヴァプールが優勝したら、来期のチャンピオンズリーグにイングランドから5チーム出場させて欲しい。」という通達を出していた。

しかし、この申し出がまかり通ることになれば、どこかの国の出場枠が一つ減ることになる。

それはどう見てもおかしい。

仮に出場枠を減らされる国が出るとすれば、これほど理不尽なことはない。

せっかく長年に渡って作り上げてきたチャンピオンズリーグという偉大な大会のルールと伝統を覆すことになるのだ。

当然のことながら、UEFAの返事はノーだった。

連覇、タイトル防衛という偉業を成し遂げるチャンスを逸したリヴァプール。

しかし、そんなリヴァプールに、神の声とも言うべき発言が続々と飛び出した。


UEFAの広報責任者、ウィリアム・ゲイラード氏は、BBCのラジオ・ファイブでのインタビューで、
「規則は規則として決まっている通りだ。2000年にレアル・マドリーがチャンピオンズリーグに優勝し、国内で4位に入れなかった際にはすでに“ワイルドカード”が適用された。決断するのは難しいが、われわれが決めることではない。決めるのはイングランドサッカー協会だが、リバプールに出場権を与えるのであれば、エバートン(プレミアリーグ4位)を外さなければならない。」

つまり、イングランドサッカー協会が、エバートンではなく、リヴァプールを出場させると言い出せば、それを容認する姿勢があると言っているのである。

だが、エバートンは、チーム創設以来はじめてのチャンピオンズリーグ出場を決めたばかり。

もし仮にリヴァプールに出場権を奪われるようなことがあれば、本場のフーリガンが黙ってはいないだろう。

元々、エバートンとリヴァプールはライバルチームで、サポーター同士のいざこざも耐えない。

この問題についての解決策を模索することは非常に難しいだろう。

しかし、その問題を一挙に解決する驚くべき発言がまたもや飛び出した。

ウェールズリーグ王者のランサントフレイドのマイク・ハリス会長が、
「われわれと試合をして、リバプールが勝ったらチャンピオンズリーグの予備戦1回戦への出場権を譲り渡そう。」

と、事実上のチャンピオンズリーグ出場権譲渡の意思を明らかにしたのである。

もちろん、試合をして勝ったら、という条件つきであるが、ウェールズのチャンピオンチームに負けるようでは、出場しても恥を晒すだけだ。

きっちりと勝たなければ話にならない。




この申し出が了承されるかはわからないが、今後の動向が非常に気になることは確かだ。

最終的な決定は、6月17日に行われる、UEFA実行委員会で決定される。

その決定を楽しみに待とう。