蹴球会議(レッズサポの独り言) -2ページ目

4バックと3バック(その2)

前回は3-5-2の成り立ちを書いたが、今回からは、4バックと3バックの良し悪しについて書こうと思う。

私はもっぱら4バックを推奨しているのだが、どちらが良いかというのは一概には言えないし、監督の好みや、起用する選手のタイプにも左右されることが多いと思うので、あまり気にせずに読んでいただきたい。 

ただ、世界の主流はいまや完全に4バックで、3バックは少々時代遅れの様相を呈してきているのも事実だ。(今年のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに残った16チームは、全て4バック。)

もし、自分のチームが最先端の戦術を使いたいのであれば、4バックをお薦めする。笑



では、実際にそれぞれのシステムについて述べていこうと思う。

まずは4バックからだが、4バックにもいろいろなシステムがある。

4-4-2、4-3-3、4-5-1と、3分割表記でも3種類あり、4分割表記も含めてしまうと、その数は8種類にまで増える。(4-1-4-1、4-2-3-1、4-3-1-2、4-3-2-1、4-1-3-2)

さらに、4-4-2には、中盤の4人がフラットに並ぶオーソドックスな4-4-2のほかに、ボックス型とダイヤモンド型があり、これらを含めると、全部で10種類のシステムが考えられる。

4-2-4なんてシステムもあるのではないか、と思われる人もいるだろうが、これは40年以上も前に流行った戦術で、その存在意義は大きいものの、今現在では、この戦術を使っているチームは全く見当たらないので、数には入れないことにする。


以上のように、10種類に分けられる4バックのシステムであるが、実は守備に関してはあまり違いはない。

厳密に言うと違うのは当たり前なのだが、その違いは微々たるものだし、守備は相手ありきの受身の行動なので、相手によって守り方が変わるのは当然だ。

そのため、システムは同じでも相手が変われば守り方も変化するし、相手が同じならば、自分達のシステムが変わっても守り方は同じである。

つまり、各システムの守り方による違いと、相手によって変わる守り方の違いは、誤差にもとれる許容範囲内での変化と考えてもなんら問題ない。。(ここでの言及に、3バックシステムは含まない。)

よってここでは、全ての4バックシステムの守備について、オーソドックスな4-4-2の守備について言及することにする。



上記がオーソドックスな4-4-2であるが、説明を聞く前に、皆さんに知っておいてもらいたいことがある。

それは、コートの大きさだ。

サッカーの公式ルールでは、縦90~120m、横45~90mで、コートは長方形にしなければならない、と規定されているが、これは公式ルールであって、実際にこの大きさを目一杯に使ったコートなどで試合をすることはないだろう。

日本国内では、国際試合や全国規模での大会のコートの大きさを、108m×65mとJFA(日本サッカー協会)が規定しているからだ。

ちなみにFIFAは、国際試合のコートの大きさを、縦100~110m、横64~75mとしている。

ここでは、JFAの規則にのっとった、108m×65mという大きさを使って言及していこう。

この、65mという数字を覚えておいていただきたい。


次に、ペナルティエリアとゴールエリアの大きさであるが、まずは下の絵をご覧頂きたい。



横の幅は65mとしているので、

①ペナルティエリアからタッチラインまでの長さ・・・12.34m

②ゴールエリアからペナルティエリアまでの長さ・・・11m

③ゴールポストからゴールエリアまでの長さ・・・5.5m

④ゴールの幅・・・7.32m

となる。

ここで一番重要な数字は①である。


※②、③、④の長さは、公式ルールで決められているが、①は流動的な数字で、FIFAの規則ならば11.84~17.34mであるが、JFAの規則ならば、12.34mとなる。



では、①=12.34mと、65mという数字を念頭において、下の絵をご覧頂こう。




青く塗っているところは、主にサイドの選手がプレーするエリアである。

緑の部分は、主に真ん中の選手がプレーするエリアだ。

この、青く塗った部分が、4-4-2を説明する上での最重要ファクターとなるのだが、この青色のエリアの大きさは、フィールド全体に対して、一体どれくらいの大きさなのだろうか。

これは、先ほどの①=12.34mと、横幅65mという数字を使えば容易に計算できる。

65÷①≒5となり、実は、この青色のエリアは、全体のフィールドの約5分の1の大きさだということがわかる。

では、この青色のエリアでプレーする人数は何人になるのだろうか。

それは、上記の絵を見ても一目瞭然。

各サイドに2人ずつである。

ここまで説明すれば、だいたいの察しがつくだろう。

フィールドプレイヤーは全部で10人。

青色のエリアでプレーする人は2人。

つまり、10÷2=5となり、フィールドプレイヤーの5分の1にあたる選手が、青色のエリアを担当することになるわけだ。


以上のことより、フィールドの大きさと人数がぴったり噛み合っていることがわかるのだから、4-4-2は、とてもバランスが優れているシステムだと言えよう。

Jリーグ第12節、浦和レッズ対横浜F・マリノス

去年のチャンピオンシップの組み合わせとなったこの試合。
このカードは、今日本で最も面白い試合にならなくてはいけないはずなのだが、両チームとも去年の勢いは感じられず、ここまでの成績はいまいちで、不本意なシーズンを過ごしている。
この試合の後は、代表の試合の関係で、Jリーグは一時中断となることもあって、勝って気持ち良くカップ戦に向かいたいところだろう。


□■□■□■□■□■□■□■結果□■□■□■□■□■□■□■


                合計 1 - 0


                前半 0 - 0
浦和レッズ                          横浜F・マリノス
                後半 1 - 0


□■□■□■□■□■□■□■採点□■□■□■□■□■□■□■



浦和レッズ


23都築 龍太 6.5 ポストに当たったシュートが2本あったが、一本は触らなければ入っていたし、最後の安貞桓の決定的なシュートも止めるなど、零封に大きく貢献。ディフェンス陣の大きなミスもカバーし、上々の出来。


2 坪井 慶介 5.5 前半のクリアを空振りしたのは信じられない。ああいうポカをなくさなければ、日本代表のレギュラーにはなれないだろう。今では代表の柱になった中澤も、昔は足元がおぼつかなかった。中澤を見習って、足元の技術をしっかり鍛えなければ、これ以上の成長は望めないだろう。一対一は相変わらずの強さだったが、連携がいまいちで、無失点に抑えたのが不思議なくらい。


3 アルパイ 6.5 久しぶりの出場になったが、存在感をアピール。安定した空中戦と一対一の強さは、チームに落ち着きを与え、右サイドからはほとんど崩されなかった。攻撃でもくさびのパスや次の攻撃を考えたパスを出し、改めて攻撃力の高さも見せ付ける。ディフェンスラインの連携を良くすれば、守備に心配はなくなるだろう。


4 田中 マルクス闘莉王 6 出場時間は短かったが、安定したディフェンスラインを作った。負傷退場してから、その存在の大きさを改めて感じた。無理をしないで早く怪我を治して欲しい。


6 山田 暢久 6 両チーム通じてのファーストシュートなど、ところどころにテクニックの高さを感じた。しかし、センタリングの本数が少なく、本調子にはまだ遠いか。リーグ再開後に期待。


8 三都主 アレサンドロ 6 あまり効果的なクロスをあげれなかったが、それ以外は無難な出来。スピードとスタミナで献身的に守備もこなした。守りに入ってからの軽率なプレーをどうにかできすれば、もっと良くなるのだが。


13鈴木 啓太 6 先制点に繋がったミドルシュートはお見事。本来は守備で活躍する選手だが、たまにあるミドルシュートが相手の脅威になっている。ドリブルを覚えれば一皮剥けるか。


17長谷部 誠 7 久しぶりのトップ下での出場。チームが守りに入ったため途中交代させられたが、一本のパスで状況を打破し、決定的なチャンスを作るそのセンスは驚愕の一言。連携が上手く噛み合っていない中で、これだけのパフォーマンスを見せれるのだから、チームが成熟した後のトップ下でのプレーを早く見てみたいものだ。


19内舘 秀樹 5.5 山瀬を抑えるためにボランチでの出場となったのだろうが、ほとんど抑えられず。何度も決定的なドリブルを許し、シュートも打たれた。


10エメルソン 5.5 シュートを打つ姿勢は良いのだが、周りが見えなくなるのはいかがなものか。今日は右足ふくらはぎ痛のため、ドリブルはほとんどしなかったが、今日くらいの球離れの速さがあれば、相手も捕まえにくくなるのだが。守りに入ってからの緩慢な守備と、気の抜いたカウンターはマイナスイメージ。疲れて動けないなら交代を申し出るべき。


11田中 達也 5.5 全くボールに絡めず。シュートもなく、ドリブルの仕掛けも失敗し、良い所なし。悪いところが全て出た感じ。相手を背負ったときのプレーに幅をもたせてほしい。


20 堀之内 聖 6 急遽前半途中からの出場だったが、慌てふためきながらもなんとか無失点で切り抜けた。オーバーヘッドなど、攻撃のセンスを随所に見せ、得点力があることもアピール。


9 永井 雄一郎 6.5 後半途中からの出場で、見事決勝点をもぎ取った。それ以外に目立ったところはなかったが、相変わらずのキープ力の高さで時間を稼いだ。


7 酒井 友之 出場時間が短く、採点なし。




横浜F・マリノス


21 榎本 哲也 5.5 良く守っていたが、一発にやられてしまった。それ以外は良く守っていて、及第点と言えよう。


3 松田 直樹 5.5 FWに仕事をさせなかったのはさすが。目立ったプレーはなかったが、安定してディフェンスラインを統率できた。しかし、1点取られてからの、前線に張って攻撃を仕掛けたときのプレーは頂けない。フェイントして自分がミスをしてしまっては、せっかくのチャンスが台無しになる。


22 中澤 佑二 6 エメルソンを完璧に抑えた。一対一でも一度も抜かれず、対応力の高さを発揮。コーナーキックからの惜しいヘディングシュートを決めれるようになれば、さらに言うことなしなのだが。


35 河合 竜二 5 永井のマークを外してしまったのはもったいない。気を抜いて転んでしまったのは論外。それ以外は無難な出来なのだから、一試合を通じて集中して欲しかった。


5 ドゥトラ 5.5 能力の高さを存分に見せつけたが、相手の右サイドを封じ込めるまでには至らず。中に切り込んでシュートするなど、バリエーションを増やすともっと良い。


4 那須 大亮 5 惜しいヘディングシュートを放ったし、パス回しは良いのだが、守備で少し難あり。いくら安定していても、パスカットを狙えるようにならなければ、ボランチとしての成長は望めない。


6 上野 良治 5 那須と同じく、長谷部を全く抑えられなかった。長谷部のドリブルを、ファウルで潰すくらいの激しさが必要。


10 山瀬 功治 6.5 マリノスの中では、今日一番の出来。スピードに乗った効果的なドリブル、前線への飛び出しなど、ユーティリティー溢れるプレーで攻撃を牽引。長谷部とのトップ下対決は、今日のところは引き分けか。


7 田中 隼磨 5 スタミナ豊富な運動量で、三都主と最後まで主導権争いを演じたが、相手に仕事をさせなかっただけで、自分も仕事はできなかったか。センタリングの精度を高くしなければ、代表への道は険しい。


15 大島 秀夫 5 ポストに当たったシュートは大島らしい動き出しからだった。シュートに持って行く技術はJでも屈指のものを持っているので、ドリブルからも同じようなことができれば、その才能は開花するはず。


19 安 貞桓 5.5 最後のシュートなど、技術の高さで相手を翻弄。途中ミスパスが多くなったが、最後に持ち直すところはさすがと言ったところか。最近調子を上げてきているので、この調子で得点を重ねていって欲しい。


9 久保 竜彦 5 ほとんどボールに触れず。1点を追う展開で、ロングボール多用の攻めになれば致し方ないか。ただ、高さを生かしたポストプレーには参加できたはずで、まだまだ本調子には遠いだろう。


11 坂田 大輔 プレー時間が短く、採点できず。




□■□■□■□■□■□■□■総評□■□■□■□■□■□■□■


山瀬を抑えるため、ボランチに内館を起用したブッフバルト監督だが、この采配は頂けない。
内館は、ボランチで起用するには技術が足りないし、パス回しにも難がある。
だったら、本職がボランチの堀之内や、日本代表経験もある酒井で良かったのではないだろうか。
しかも、内館は山瀬をほとんど抑えることができなかった。
たまたま無失点に抑えられたが、内容的には押されていただけに、ラッキーだったと言えよう。
久しぶりにトップ下で長谷部を使ったが、やはり長谷部はFWに近い位置でこそ本来の力を発揮するタイプだ。
信じられないようなタイミングでパスを出し、何度も決定機を作ったのだから、今後もトップ下での起用を見たいものだ。


今日も、栗原に変わって河合を入れ、トップ下には山瀬を初スタメンで使うなど、相変わらずの岡田采配が見られたマリノス。
前にいたチームに借りを返してやろうという意気込みを買っての起用だろう。
しかし、チャンピオンシップのときはその起用が上手くいったかもしれないが、そう何度も成功しないのがサッカーである。
事実、永井の決勝点は、河合のミスだった。
素直に栗原で良かったのではないだろうか。

選手交代も、久保と坂田を入れるまでは良かったが、松田を前線にあげるのであれば、河合を下げて大橋を投入しても良かったのではないか。

ロングボールを多用しても良いが、精度がいまいちでは時間ばかりがかかるだけだし、肝心の松田は、パスミスやフェイントミスで相手にボールを献上してしまっていた。

大橋のようにスピードのある選手を投入して、ちょこちょこかき混ぜたほうが、狭いスペースを崩せることもあるし、足の止まったレッズには脅威だったはずだ。


マリノスは、怪我人が多くてベストメンバーがなかなか組めないのが難点だが、久保ももう少しでフルに使えそうだし、山瀬も約1年振りの先発出場と、明るい話題もある。
特に山瀬は、ドリブル、パスともに冴え渡っていて、もう万全の体調に戻ってきているのではないだろうか。
これからが楽しみな存在だ。
今日の山瀬を見る限り、なぜレッズは放出したのかと疑問に思うばかりである。



今日の結果はレッズの勝利だった。
ここ5試合で3勝2分けと調子をあげてきたレッズ。
4試合連続無失点と、不安定な守備ながらも結果を残しているだけに、攻撃陣が復調すれば、優勝戦線に絡んでくること間違いなしだ。
中断期間に、どれだけ調子をあげてくれるか、楽しみに待つことにしよう。

4バックと3バック

以前、戦術の話をしたときに、4バックと3バックのことについて書いたので、今日はそのことについて書こうと思う。

私は、自分なりに戦術書を読み漁ったり、いろいろな指導者に教わることによって、それなりの知識を得たつもりでいるが、80年代以前のシステムについては、ほとんど知識がない。

なぜなら、その時代の試合映像というものが、ほとんど手に入らないからである。

仮に見れたとしても、ゴールシーンを繋ぎ合わせたものばかりで、戦術的な試合観戦はできないのだ。

よって、ここでは、最近のシステムについてだけ述べさせていただくことにする。




最近のシステムは、大まかに2つに分けることができる。

それが、4バックと3バックである。

3バックは、両サイドのスペースをカバーすることが難しく、サイドからのアタッキングが主流の現代サッカーにおいては、全く歯が立たなかった。

そのため、一時期は衰退の一歩を辿っていた戦術だったのが、3-5-2というシステムができてからは、世界を席巻するまでにその地位を回復した。


そもそも、なぜ3-5-2というシステムができたのかと言うと、2トップにたいして一枚ディフェンスを余らせたい、というディフェンスの基本概念があったからである。
4-4-2の場合、相手の2トップにはセンターバックがマークにつくのが普通なので、サイドバックは相手のサイドハーフをマークすることになる。

しかしこれだと、相手のサイドハーフが高い位置に来たとき、ディフェンスラインは一枚余らせることができない。
これが、3-5-2の場合だと、後ろ3人で2トップを見る形になるので、サイドの二人が相手のサイドハーフをマークするようにすれば、常に一人余った状況が作れるというわけだ。
つまり、3-5-2のサイドと、4-4-2のサイドバックは、ディフェンスに関しては元々同じ仕事をするポジションなわけである。
違うことは、3-5-2には、最終ラインにカバーリングを仕事とする選手が一人入っている、というところだけなのだ。

これが、3-5-2が守備的と言われる由縁である。

このスイーパーと呼ばれるポジションの仕事は、4-4-2のボランチに似ていて、スペースをカバーしたり、ときにはマークについたりと、ユーティリティー溢れるプレーが要求される。
このことは、Jリーグの選手起用を見てもご理解いただけると思う。
ガンバ大阪の場合、3バックの真ん中はシジクレイか宮本がやっているのだが、二人とも、ボランチで起用されることがあるのはご存知だろうか?
さらに、日本代表で言えば、松田もユース代表の頃はボランチをやっていた経験がある。
つまり、イメージとしては、3-5-2は、4-4-2のボランチが最終ラインに加わった、5-3-2の形から派生してできたシステム、と思っていただければわかりやすい。


だが、攻撃に関しては役割が違ってくる。
攻撃の場合、4-4-2のサイドバックと同じ仕事を要求されるのは、主に3バックの両サイドなのだ。
これはどういうことかと言うと、4-4-2の場合は、後ろのディフェンスライン4人でボールを回すわけだが、そのことを3-5-2に当てはめると、後ろの3人とボランチ一枚の4人でボールを回す、ということに一致するわけだ。
つまり、4-4-2のサイドバックが縦にくさびのパスを入れるプレーや、オーバーラップをするプレーと同じことが、3-5-2の3バックのサイドにも要求されることになる。

そして、3-5-2の両サイドは、4-4-2のサイドハーフと同じような動きが要求されるというわけである。

 
しかし残念ながら、Jリーグを見ている感じでは、日本人でこのことを理解しているディフェンスは、中澤と中田浩二くらいしかいないのではないだろうか。
代表で、三都主がボールを持ったときに、その外側を上がっていく中澤を何度も見たことがあると思うが、これはまさしくサイドバックの動きである。


Jリーグで3バックのサイドをやっている外国人選手(アルパイとネネくらいしか思いつかないが。)は、攻撃参加も考えてプレーしているので、その辺を参考にしてもらえれば、以上のことがわかりやすく理解できると思う。



そもそも、4-4-2が大流行したとき、サイドバックは中盤をやっている選手がやることが多かった。
これは、攻撃を組み立てるときの、一番最初の起点になるのがサイドバックだったから、というのが主な理由だと考えられる。
当時は世界No.1の右サイドバックと言われたジョルジーニョも、ユース時代はボランチだったし、94年のアメリカワールドカップの決勝で左サイドバックをやっていたレオナルドも、元々は中盤の選手だ。
日本で言えば、三浦淳、新井場、山田卓也などが、中盤とサイドバックの両方をこなせる。
こういう背景があって、4-4-2から3-5-2に世界の主流が移行していったとき、もともと中盤をやっていたサイドバックの選手が、サイドハーフ的な仕事もするようになったのが今の3-5-2のサイドハーフだ、と私は解釈している。



今回は、3-5-2の派生から、各ポジションに求められる役割を書いてみた。

次回は、4バックと3バックの良し悪しを比べていこうと思う。

浦和がフィーゴ獲得へ!?

11日付けのスポーツ報知に、浦和がフィーゴを獲得に動くというような記事が掲載された。

それをうけて、クラブ事務所には電話やメールが殺到したらしいが、いい加減スポーツ新聞の誤解を招くような記事の書き方には辟易する。


この記事の背景はこうだ。

浦和レッズの犬飼社長が、「フィーゴの獲得はJリーグ全体にメリットがある。」と発言したことを、スポーツ報知は、「浦和、フィーゴ獲得へ」と勝手に解釈して記事にしたのである。

勝手に解釈という表現は適切ではなくて、意図的なのか間違ってなのかの区別も定かではないが、マスコミという立場にある人たちが、人の発言を歪めて伝えるのはいかがなものか。


そもそも、浦和は藤田獲得に乗り出していて、浦和のブッフバルト監督が、藤田に直接会って話をしたばかりだ。

磐田は、藤田放出に難色を示しているが、当人は移籍に前向きである。

日本代表に選ばれていても、所属チームでスタメンの座を奪われたとなれば、いずれは代表からも外されるのは当然だ。

移籍をして、新たな活躍の場を求めたいというのが藤田の本音だろう。

今のところ、移籍先は浦和と名古屋の二チームに絞られたと言われているが、藤田自身は浦和に傾いているようだ。


浦和側からすれば、すでに目星をつけた選手がいて、その契約も後一歩のところまできているのに、同じポジションで起用することになるであろう新しい選手を、獲得に動くわけがない。

第一、藤田にも失礼である。

例えフィーゴをトップ下で使わなくても、右サイドには永井と山田がいるし、左には三都主がいて、控えには平川と岡野もいる。

サイドの選手は十分過ぎるほど足りている。

フィーゴを獲得するメリットが、それほど大きいとは思えない。



以上のことを考えれば、犬飼社長の発言が、獲得の意思表示だと認識することはまず有り得ない。

事実、今日の犬飼社長の発言を見ると、「うちは(獲得が)ない。あれ(前日のコメント)は一般論」と獲得を否定している。

実は、スポーツ報知は、3月にも、マリノスがジダンを30億円で獲得に乗り出したと報じている。

もう2ヶ月近く経つが、ジダンはレアルで選手生命を終えたいと語っているし、マリノスも獲得に動いた形跡はない。

どんな事情があるにせよ、人の発言をありのままに受け止め、誤解のないような記事を載せて欲しいものだ。




仮にフィーゴを獲得するとどんなメリットがあるのだろうか。

まず真っ先に考えられるのは、観客の増加だろう。

普段は試合を見に来ないようなサッカーファンも、フィーゴという世界的にも超一流の選手が見られるとなれば、こぞって足を運ぶに違いない。

だが、浦和は、Jリーグで一番と言っても過言ではないほどの熱烈なサポーターたちがいる。

ほぼ毎試合のように観客席は満員になり、選手に熱い声援を送っているのだ。

フィーゴが来たからといって、新たに観客席を増やすわけもないので、結局は今までどおりの観客数になるのではないだろうか。

仮に増えたとしても、それは微々たる数字であって、年棒が5億も6億もする選手を獲得するための資金にはならない。


次に考えられるのは、周りの選手たちへの影響である。

プレースタイル、フェイント、戦術眼、サッカーに対する意識、経験など、一緒にプレーすることによって得られるものは、果てしなく大きい。

これは、お金で買えない価値がある。

もちろん、マスターカードでも買えない。笑

フィーゴが経験してきた全てが、必ずや日本サッカーの糧となるだろう。


他には、日本とポルトガルのサッカーを繋ぐパイプ役としての働きが期待できそうだ。

フィーゴは寿司が大好物で、自分で日本食のレストランを経営していたほどの日本通だ。

引退後は、リトバルスキーのように日本に居座って、指導者として働いてもおかしくはない。

しかし、これは希望的観測であって、フィーゴが指導者になるかもわからないし、指導者になったとしても、ポルトガルに帰ってしまっては元も子もない。


以上の3つが主たるメリットとして考えられるが、これらのことが全て良い方向に向かうと考えても、フィーゴを獲得するのは少々気が引けるだろう。

問題はやはりお金だ。

フィーゴの現在の年棒は、7億2千万とも8億とも言われている。

移籍金は2億8千万と格安だが、獲得に乗り出したニューカッスルやマンチェスター・ユナイテッドは、5億4千万円以上の年棒を出すと言っているのだ。

つまり、浦和がフィーゴを獲得するためには、1年契約だとしても、最低9億以上の金を用意しなければいけない。

それだけのお金を出すのであれば、将来有望な日本人選手をかき集めたほうが、将来のためになるのではないだろうか。


以上の理由により、やはりフィーゴ獲得は難しいだろう。

Jリーグの順位表に垣間見る、日本の最先端の戦術とは

4月28日で、ゴールデンウィーク前の全ての日程を消化したJ1。

ここまで8試合ずつを戦ってきた各チームだが、今の段階では、リーグ戦の約4分の1を消化したことになる。

次の試合はゴールデンウィーク真っ只中の5月1日だが、その試合を前に、各チームの序盤戦の成績を振り返っておこうと思う。



順 チー   勝利       敗戦     引分    累積       累積      得失      総勝

位 ム名   数       数    数         得点       失点      点差      点数

1 鹿島          7         0         1         17           6         +11         22

2 名古屋       5         1         2         16           8          +8         17

3 広島          3         1         4         11           6          +5         13

4 大宮          4         3         1         13          11         +2         13

5 千葉          3         2         3         19          16         +3         12

6 川崎          3         3         2         16          13         +3         11

7 横浜          3         3         2         13          11         +2         11

8 セレッソ      3         3         2         10          11         -1         11

9 ガンバ        2         2         4         15         16          -1         10

10 FC東京      3        4          1         10          11         -1         10

11 柏            2         3          3          9          11         -2           9

12 ヴェルディ  2         3          3         14         17         -3           9

13 大分         3         5          0         10         14         -4           9

14 新潟         2         3          3          9          15         -6           9

15 清水         1         2          5          6           7         -1           8

16 磐田         2         3          2          7          12         -5          8

17 浦和         1         3          4         10          11        -1           7

18 神戸         1         5          2          8          17         -9          5


少し前までのJリーグは、磐田と鹿島の2強だった。

そして、去年は浦和と横浜の2強だった。

今年のJリーグは、その4つの争いになると思っていた。

去年のナビスコカップと天皇杯をそれぞれ制したFC東京と東京ヴェルディ、2年連続セカンドステージ2位の千葉、去年のファーストステージ4位にセカンドステージ3位のガンバ大阪など、優勝争いに食い込んできそうなチームはたくさんある。

それでも、4強の座は揺るがないと私は考えていた。

その根拠はたくさんある。



磐田は、黄金期を支えた選手たちが選手生命の終盤を迎え、若手との融合に苦労した昨シーズンだったが、今年はアジアチャンピオンズリーグ制覇を目標に大量補強に打って出た。

GKには、日本代表の正GK川口を、DFには韓国代表の金 珍圭を、左サイドには千葉から村井を、FWには、Jでの実績もある韓国代表の崔 龍洙を獲得。

さらに、菊池、成岡、前田などのアテネオリンピック世代が成長し、コンスタントに試合に出場するようになってきた。

これに円熟期を迎えたベテラン勢がフィットすれば、優勝戦線を賑やかすこと間違いなしだ。



鹿島は、昨年の優秀新人賞を受賞した岩政がすっかりレギュラーに定着し、穴だったセンターバックに不安がなくなった。

岩政は、代表のレギュラーになれるくらいのポテンシャルを秘めていて、高さを生かしたヘディングによる攻撃力も魅力だ。

今年は、小笠原からの精度の高いセットプレーを、岩政が頭で決めるシーンも多く見られそうだ。

さらに去年の終わりから日本代表の鈴木が復帰した。

今年新加入したアレックス・ミネイロは、点取り屋タイプのストライカーなので、ポストプレーヤータイプの鈴木との相性は抜群。

二人のコンビが噛み合えば、得点力不足に泣いた去年のようなことはないだろう。

安定した守備陣と合わせて、死角はない。



浦和は、去年見せた驚異的な爆発力が最大の魅力だ。

去年J1得点王のエメルソン、2年連続二桁得点の田中達也、J1屈指のドリブラー永井の3トップはスピード感抜群。

両サイドには、日本代表の山田と三都主がクロスを供給し、ボランチには、テクニックに優れた天才肌のパサー長谷部と、アテネ世代でキャプテンを勤めた鈴木啓太が陣取る。

後ろ三人も去年から変わらず、ネネ、闘莉王、アルパイの連携は問題なし。

驚きの高さで空中戦も無敵だ。

さらに、坪井が怪我から復帰すれば、ディフェンスラインはハイレベルなレギュラー争いを展開することになる。

ベンチにも、元日本代表の岡野と酒井、三都主がくるまでレギュラーだった平川、ユニバーシアード代表でキャプテンだった堀之内、若手の成長株の横山など、計算できるメンバーが並ぶ。

去年と同じ試合展開ができれば、今年は間違いなく優勝候補の最筆頭だ。



横浜は、怪我人続出が悩みの種だが、選手個々の能力は非常に高い。

レギュラーはもとより、GK以外の全てのポジションをこなせる中西、去年のチャンピオンシップで決勝ゴールを決めた河合、2003年のワールドユースでレギュラーだった栗原、中盤より前ならどこでもこなせる大橋、レッズから加入したアテネオリンピック代表の山瀬、ジュビロの黄金期を知るスピードが武器の清水、去年J2で日本人最多得点の大島、2003年のワールドユース得点王の坂田、今年2年目の期待のドリブラー山崎など、他のチームならレギュラーでもおかしくない逸材が揃っている。

今年新加入のアデマールも、韓国の城南一和で横浜と対戦したことがあり、チームの特長は理解しているはずだ。

怪我をして戦線離脱していた久保と安が戻れば、3連覇を達成した頃の輝きを取り戻すのは間違いない。




しかし、8試合を消化した時点で、4強のうち好調なのは首位のアントラーズだけだ。
磐田、横浜の2チームは、アジアチャンピオンズリーグとの兼ね合いによる過密日程で、全ての試合をベストメンバーで戦えないことが原因だろう。

浦和は、エメルソンの体調が万全でないこと、ディフェンスラインのメンバーが固定できないことなどが、現在の順位に繋がっていると言えよう。

しかしこの順位表、よくよく見ると、面白いことに気づく。

上位4チームが、4バックを採用しているチームなのだ。

Jリーグで4バックを採用しているのは、鹿島、名古屋、広島、大宮、FC東京、柏、新潟、清水の8チーム。

そのうちの半分が上位4つに並んでいるのだから、4バック推奨派の私には嬉しい限りだ。

さらに、総失点の少ない順から並べていくと、鹿島と広島の6、清水の7、名古屋の8、大宮、横浜、セレッソ大阪、FC東京、柏、レッズが並んで11と続く。

なんとここまでで、4バックを採用している8チーム中、新潟を除いた7チームが名前を連ねたことになる。

これは、「3バックは4バックよりも守備的である。」というサッカー界の常識を覆している、驚くべき数字なのである。(3バックと4バックの戦術的違いについては後日。)

まだシーズンの4分の1しか消化していない現段階では、時期早尚と言われてもおかしくないが、4バック全盛の時代が戻ってきたと言っても過言ではないのではないか。



そもそも、今、世界ではすでに4バックが主流だ。

イタリアのセリエAが世界最高のリーグと言われていた1990年代始め、アリーゴ・サッキ率いるACミランが、ゾーンプレスという革命的なディフェンス方法を世に知らしめ、世界は急速に4-4-2の時代となった。

それまでも4バックが主流だったが、4-3-3と言われるウィングを置く戦術が広まっていて、FWの選手がディフェンスをするということはまずなかった。

しかし、サッキが作り出したプレッシングサッカーにより、中盤やFWの選手にもディフェンス能力が求められていったのである。

94年のワールドカップは、まさに4-4-2のための大会だった。

ベスト4に残ったブラジル、イタリア、ブルガリア、スウェーデン、全てが4バックだったからである。


ところが、4-4-2が定着してくると、2トップを抑えるための戦術である3バックが流行した。

これは、相手の2トップを、2人のセンターバックとスイーパーで抑えるという戦術で、4-4-2よりも少し守備的である。

3バックは、最終ラインに必ず一人余る格好になるので、カバーリングがしやすく、安定した守備を展開できるという特長がある。

98年のワールドカップは、3-5-2と4-4-2の2大戦術の戦いだった。

このときの決勝戦は、フランスの4-5-1とブラジルの3-5-2の戦いで、4バックのフランスが勝っている。(4-4-2と4-5-1の守備の仕方はほとんど変わらない。)

しかし、その後は3-5-2が4-4-2を抑えて戦術の先端を走ることになる。

2002年のワールドカップでは、ベスト4に残った、韓国、ドイツ、ブラジル、トルコのいずれも3バックシステムだった。


ところが、再び4バックが世界を牛耳っている。

それは、今年のチャンピオンズリーグを見れば一目瞭然である。

ベスト4に残った4チーム全てが、4バックを採用しているからだ。

2002年のワールドカップで韓国をベスト4に導いた名将、ヒディング監督が率いるPSVでさえ、ワールドカップから3年足らずの現在は4バックで戦っている。

さらに、ベスト16に勝ち残ったチームのシステムを見てみても、全てのチームが4バックを採用している。(ポルトは、インテル戦のセカンドレグでは3バックだったが、本来は4バックのチームである。)

これは、3バックよりも4バックのほうが安定した試合運びを展開でき、なおかつ組織的に守備を展開でき、ポジションチェンジも有機的にこなせるからだろう。

3バックよりもポジションにとらわれることの少ない4バックが、戦術の最先端に舞い戻ってきてもなんら不思議はない。(4バックと3バックの戦術的違いにおいては後日。)



日本ではまだ3バックを採用しているチームが多い。

すなわち、日本は世界の最先端にはまだ追いついていない、という結論に至ることができる。

日本がサッカー先進国と言われるためにも、世界に追いつくためにも、4バック全盛の時代が一刻も早く来ることを願う。

チャンピオンズリーグ準決勝 リバプール対チェルシー ファーストレグ

サッカーの試合を見て興奮したければ、チャンピオンズリーグを見るのが良いだろう。

世界中でいろいろな大会が行われているが、どの大会よりもエキサイティングな試合が見られるのは、このチャンピンズリーグと言っても間違いはない。

ワールドカップも間違いなく面白いのだが、 チャンピオンズリーグには適わないと私は自負している。

なぜなら、チャンピオンズリーグは、日々の練習を一緒にこなしている仲間とチームで出場するからである。

監督の考えを如実に反映する選手交代、緻密に計算された戦術、個々が見せる息のあったコンビネーション。

これらの完成度の高さは、とても代表チームが敵う代物ではない。

代表チームが、短期間の召集と短時間の練習という二つの問題を解決することができなければ、ワールドカップがチャンピオンズリーグを超える日は来ないのかもしれない。




このゲームは、準決勝のファーストレグ、チェルシー対リバプールのイングランド勢同士の対決。
下馬評では、圧倒的チェルシー有利。
なぜなら、今季3度の対戦全てにチェルシーが勝っているからだ。
だが、私はそこまでチェルシーが勝つとは思ってない。
チェルシーの守備とカウンター気味の速攻は、相手が攻撃的であればあるほど効果を発揮するものであって、相手よりボールポゼッションが高くなるような試合展開になると、思ったほど点は入らなくなるはずだからだ。

事実、今季3度の対決は、全て一点差で決着がついている。
この試合も、1点差でゲームが決まるだろうと私は予測している。

問題はどっちが勝つか、であるが、リバプールのメンバーを見ると、やはりチェルシー有利と唱えたくなる。

リバプールは、ハマンを怪我で欠き、キューウェルとジブリル・シセも怪我から復帰したばかり。
ペジェグリーノとモリエンテスは、それぞれ前所属のバレンシアとレアル・マドリードで今年のチャンピオンズリーグに出場しているため、今年は試合に出れない。

ベストメンバーが組めないリバプールが勝ち上がるのは困難であろう。

よって、ファーストレグの私の戦前予想は、2-1でチェルシーだ。





□■□■□■□■□■□■□■結果□■□■□■□■□■□■□■

                合計 0 - 0

                前半 0 - 0
チェルシー                              リバプール
                後半 0 - 0

□■□■□■□■□■□■□■採点□■□■□■□■□■□■□■

チェルシー

ぺトル・ツェフ 6 前半の、バロシュのヘディングシュートを止めたのはお見事。あれが入っていたらチェルシーはかなり厳しかっただろう。それ以外も安定。


グレン・ジョンソン 4.5 中に絞りすぎて、外に張っているリーセにズタズタに切り裂かれた。やはりパウロ・フェレイラのほうが良いと思わせてしまうなど、マイナス点多し。


リカルド・カルバーリョ 5 無難な内容だが、もう少し落ち着いてラインを形成したい。 


ウィリアム・ギャラス 5.5 ルイス・ガルシアに仕事をさせず、効果的な上がりも見られた。本来センターバックなだけに、今日の出来であれば合格点。


ジョン・テリー 5.5 全てにおいてハイレベルをキープ。ただ、もっとやれるはず。 


クロード・マケレレ 6 相変わらずの献身的な守備で、相手の攻撃の芽をことごとく潰した。後半になると目立つのはさすが。


フランク・ランパード 5.5 枠にいったミドルシュートはなかったが、ミドルレンジでの威圧感はさすが。後半も前半に引き続きもう少し前に出てプレーできれば得点のチャンスもあったはず。


ジョー・コール 6 かかとを使った独特の切り替えしでチャンスを演出。シュートまでいけなかったところが課題だが、サイドアタッカーとしての役目は十分に果たした。


エイドゥル・グジョンセン 5 少し消えている時間が多かったか。本来のできには及ばず。 


チアゴ 5 目立ったプレーなし。ゴール前につめる積極性は買うが、それ以外のところでもう少しパスの正確性をあげていきたいところ。


ディディエ・ドログバ 5 決定的なところを外すなどチャンスを生かせず。いつもよりサイドに流れてのプレーが多かったのがシュートまでいけなかった原因か。 


マテヤ・ケジュマン プレー時間が短く採点できず。 


ロッベン 5 一度ドリブルでチャンスを作ったが、それ以外に見せ場なし。守備でさぼるところが見られ、交代出場の意義を見出せず。



リバプール

イエシー・デュデク 5.5 決定的なシュートが飛んでこなかったが、0に抑えたことに価値あり。


スティーブ・フィナン 5.5 ルイス・ガルシアの後ろで大変だったが、なんとかこらえた。ギャラスがあがってきたときに、簡単に下げさせてしまうのところをもう少しなんとかしたい。


サミー・ヒーピア 5.5 相方のキャラガーの活躍により影が薄いが、良く抑えた。ラインズマンのジャッジに助けられた感があるので、もう少しラインコントロールを整えたほうが良い。 


ジミー・トラオレ 5 リーセのカバーが遅い。ジョー・コールを抑えるために守備に引っ張られてたのはしょうがないが、攻撃の際に顔を出せないのはよろしくない。


ジェイミー・キャラガー 6.5 今日のマンオブザマッチと言っても過言ではない出来。相手の攻撃をことごとく跳ね返した。


ヨン・アルネ・リーセ 6.5 相手のポジショニングミスにも助けられ、攻撃の起点となっていた。後半はやや影を潜めたものの、チーム全体が守備を意識し始めた時間にはきっちり守備もこなし、ポテンシャルの高さを見せ付けた。


スティーブン・ジェラード 6 トップ下での出場となったが、スピードのあるパスで攻撃を牽引。効果的なシュートがなかったので、もう少し前に出てプレーすれば、得点のチャンスも広がるはず。 


ルイス・ガルシア 4.5 ユベントス戦のような一瞬の閃きがなかった。ところどころで技術の高さは伺えるものの、守備の弱さとフィジカルの弱さを露呈。後半はほとんど消えていた。右サイドで使うより真ん中で生きるタイプのはずなので、真ん中でみたい。


シャビ・アロンソ 5 パスの質があまり良くなかった。相方のビスチャンより攻撃的な選手なので、もう少し攻撃面でチームに貢献して欲しい。


イゴール・ビスチャン 5 守備では及第点だが、パスミスが多かった。欲を言えば、シャビ・アロンソとの決め事を増やし、相手のカウンターを止めるようなプレーを増やすべき。 


ミラン・バロシュ 5.5 サイドに流れてボールをキープし、相手をひきつけるプレーは良かったが、もう少し真ん中でプレーして欲しい。


ハリー・キューウェル 時間が短く採点できず。 


ジブリル・シセ 5 ほとんどボールに触れず。一本シュートを打ったが、正確性に欠いたため印象悪い。 


ブラジミール・スミチェル 時間が短く採点できず。


□■□■□■□■□■□■□■総評□■□■□■□■□■□■□■


アウェーで引き分けたリバプールを評価した採点となった。
試合内容としてはチェルシーのほうが有利に試合を進めていたももの、決定的なチャンスの数はほとんど変わらず、プレーしている選手たちのイメージとしては、互角の試合内容だったはず。
この手ごたえを次戦に持ち込めれば、リバプールの有利は間違いない。
チェルシーは、力で勝るところを見せ付けられるかが大きな鍵となるだろう。


ただ、次戦はリバプールのホーム。

0-0以外の引き分けならばチェルシーの勝利となる。

リバプールは、得点することよりも0点に抑えることのほうが重要だ。

このことを気にしすぎて、自分たちのサッカーができなくなれば、自滅してしまうかもしれない。

サッカーを教えることの難しさ(その3)

自分がサッカーを教えようと本気で思ったのなら、まずは見本を探すことが大事である。
練習方法などは、一度見ればすぐ真似ができるからだ。
身近にいる良い指導者を探し出し、その人の一挙手一投足に注目しよう。


日本サッカー協会が認めるコーチライセンスを持つ指導者でも、サッカーのことをあまり良く知らないであろうと思われる人たちが中にはいる。
逆に、ライセンスを持たない指導者でも、かなりの知識を所有している人たちもたくさんいる。
ライセンスを持っている人たちは、講習会への参加が義務付けられていることもあって、最先端のサッカー理論を学ぶ機会は多いはずであるが、指導者自身に勉強意欲がなければ、指導者としての力量はなかなか上がらない。
では、良い指導者と悪い指導者の見極めはどこでつければ良いのだろうか。


指導者の力量を見るには、その少年団が、毎年安定した良い成績を残しているかを指標にすると良い。
何故なら、良い指導者というものは、選手の技術レベルを上げる能力に優れ、戦術面でも高い知識を有するため、教わる子供たちの力は、短期間でも飛躍的に向上するからである。
小学校は6年間もあるので、優れた指導者とそうでない指導者とで、力の差が出るのは当然のことなのだ。
小学生の年代から選手を集めるチームもそれなりにあるが、それは集めている、というのではなく、自然に集まってくる、という表現のほうが正しいだろう。
毎年コンスタントに成績を出しているチームや、指導者の評判が良いチームは、父兄や子供たちを通じて、その地域以外のところにまで自然と良い噂が広がる。
本気でプロを目指している子供たちや、その親御さんたちは、少しでも良い環境でサッカーを学ばせるべく、良い指導者の下に集まってくるのである。


では、強いチームを指導していなければ良い指導者とは言えないのか、というとそうでもない。
弱いチームでも良い指導者はたくさんいる。
それは、まだ指導歴が浅いために、チームに自分のサッカーを浸透させきっていない場合や、人数が少なくて、自分の求めるサッカーを展開できない場合などである。
私が小学校のときに所属していたサッカー少年団は、一年生から六年生までで15人しかいなくて、一年生が六年生の大会に出ているような状況だった。
これでは、どんなに教えるのが上手でも勝てるわけがない。
そういった、弱小チームを教える良い指導者を見分けるためにはどうしたら良いか。


その指導者が、技術的に優れているかどうかを見極めるのは意外と簡単である。
練習中、自分から積極的にボールに触っているかどうかを見れば良いのだ。
インサイドキックさえできないような指導者を何人も見たことがあるが、そういった人たちはほとんどボールに触ろうとしなかった。
逆に、サッカー経験が豊富な指導者は、自分もボールに触りたくてしょうがないので、自然とボールを蹴ってしまうのだろう。
子供たちは、目で見て、頭で理解し、体で覚える。
人間は、五感を使って物事を覚えるようにできていて、年齢が小さいほど、物事を覚えるのも早い。
全ての五感をフル活用させてサッカーを学んでいくほうが、子供たちの上達も早いはずである。
そのため、指導者が見本を見せれるということが、良い指導者の必須条件と言えるのだ。



>続く

サッカーを教えることの難しさ(その2)

日本サッカー協会が認める、公認コーチというライセンスがある。
Jリーグの監督も務められるS級から、U-12を対象にしたD級までの5段階のライセンスと、平成16年4月からあらたに新設されたキッズリーダーという資格だ。
B級とC級にはゴールキーパーコーチという資格もあり、サッカーを教えるための、より一層細かい規定が作られるようになっている。
ちなみに、私はこの資格を所有していない。


こういった資格を所有している人は、大抵、サッカーの指導者として生活している人たち、もしくは生活していこうとしている人たちである。
そのため、強豪と呼ばれる少年団には何人もの資格所有者がいて、一年生から六年生までの全てのカテゴリーにおいて、きちっとした指導を行えるというわけだ。
そうした指導が行き届いた環境で育った子供たちは、技術、戦術面にも非常に優れ、大会でも良い成績を残すことができるのである。


一方、弱小クラブには、コーチライセンス所有者が一人もいない、ということが良くある。
私のようにコーチライセンスを持っていない指導者が、子供たちを教えている、というわけだ。
なぜ、サッカーを指導できる免許を持たない人が、少年団というチームを作ることができるのだろうか。
これは、スポーツ少年団という組織の作り方に問題がある。
スポーツ少年団を作るときに、代表者が団体の加盟申請をするのは、日本サッカー協会ではなくて、日本体育協会なのだ。
日本体育協会では、スポーツ少年団を指導する20歳以上の指導者が一人以上いて、教わる子供たちが10人以上いれば、その団体をスポーツ少年団と認定する、と明記されている。
指導資格は一切必要ないわけだ。
もちろん、資格を持っていたほうが良いだろうが、そういった旨は一切記載されてはいない。
こういったことから、コーチライセンスをもたない指導者が教える少年団、というものができあがってしまうのであろう。


サッカーをきちっと教えてくれる指導者がいない、という環境は、伸び盛りの子供たちにとっては望ましい状況ではない。
コーチライセンス所有者が、必ずしも優れた指導者であるとは言い難いが、C級以上のライセンス所有者には、そのライセンスを保有するために、日本サッカー協会、もしくは都道府県サッカー協会が開催する、講習会への参加が義務付けられている。
この講習会は、トレセン制度(※3)というものが非常に重要な役割を担っていて、講習会に参加すれば、日本のトップレベルのサッカーを学べるようなシステムになっている。
そのため、講習会に参加することによって、いろいろなサッカーの知識を学ぶことができるので、指導者自身がレベルアップすることは間違いない。
ライセンス保持年数が多い指導者や、上のランクのライセンスを持っている指導者ほど、講習会に参加している回数は多いはずで、ライセンスのことを聞いてみれば、その人の指導者としてのレベルが容易に推測できるのだ。

つまり、各チームごとに、一人以上コーチライセンスを持った指導者がいることが、サッカー大国日本の目指すべき理想なのではないだろうか。


※3トレセン制度 日本サッカー協会が、サッカー強豪国と対等に闘うために行っている制度。詳しくは後日。



>続く

サッカーを教えることの難しさ

さて、第一回目の内容として、「指導者」について考えてみた。


現在、日本全国に、「少年団(※1)」と呼ばれるサッカークラブは約5500もあるそうだ。
多分、ほとんどの子供たちが、この「少年団」と呼ばれるクラブチームで、個々の人生におけるサッカーのキャリアというものをスタートさせているはずである。
もちろん、少なからず例外はいるだろう。
しかし、そういった子供たちも、どこかしらのカテゴリー(※2)、例えば中学校や高校等で、少年団出身の子供たちと一緒にサッカーを学び、切磋琢磨し合って、己の技術を磨いていっているはずである。
そう考えると、日本サッカー界の底辺は、この「少年団」というものに集約することができるのではないだろうか。


ところが、かなりの数の子供たちが、サッカーを学ぶために組織に入っているのにも関わらず、肝心のサッカーについてはほとんど何も教えてもらっていない、ということが現状である。
一つ上のカテゴリー(U-15)にいる選手たちに、少年団で何を習ったかを聞いてみると、大抵の子供たちは、そんなことしか習っていないのか、というような回答をしてくるのだ。
これでは、日本サッカーのレベルの底上げはなかなか難しい。


私は少年団でコーチをしていた経験がある。
私が教えていたチームは、区で3部に所属しているような弱小チームだったし、選手のレベルも高いものではなかった。
学校のグラウンドはハンドボールコート一面しか取れないし、使用時間も一日2時間と決められていた。
とても満足にサッカーを教えてあげられる環境ではなかった。
しかし、それを言い訳にしていては、いつまでたっても強いチームは作れない。
何より、子供たちに悪い。
子供たちの貴重な時間を、私の緩慢な指導で無駄にすることなど考えられなかった。
短い時間と狭いグラウンドで、いかに効率良く子供たちにサッカーを教えるか。
それが私の命題であった。



(※1)少年団 スポーツ少年団のことで、サッカーに限らず、野球やソフトボール、バスケットなどを教えている少年団もある。

(※2)カテゴリー サッカーでは、各年代ごとに日本代表というものがあって、その年齢ごとに分類された群のことをカテゴリーと呼ぶ。フル代表、U-23、U-20、U-18、U-15、U-12が一般的。ここのUはアンダーという意味。



>続く